西葛軌道[Saikatsu Tramway (H0e)]
製作に当たっての基本条件は、1)小型運転盤、2)工芸品の仕上がり、3)完全防塵、4)製作工期の短縮、5)地面埋め込み軌道、6)プラスターレス造形、7)軌道と情景のバランスの5点です。 運転盤のイメージは、ナローモデラーが好んで閲覧するMICRO/SMALL LAYOUTS FOR MODEL RAILROADSや1998年フランス製のマイクロレイアウトのビデオ1 m2 of happinessに強く影響されていましたので、当初は工場建家内に線路を引き込んでエンドレスの半分以上を隠す工場構内軌道を検討していましたが、エンドレスの内側に無理なくおさまる1/80ストラクチャーの農業倉庫を見つけたことにより、農業倉庫をぐるりと一周する倉庫構内軌道に急遽変更しました。
車輌は運転盤が小さいので出来るだけ小型の日本型を走らせることにし、スケールはH0e(1/87 9mm)としました。今までにレイアウト製作の経験はありますが、今回は全く発想を変えて情景付簡易小型運転盤のコンセプトで取り組みました。レイアウトではなく簡易運転盤ということで後ろめたさはありましたが、デザインとセンス次第である一定以上の成果は得られるだろうと確信して製作しました。製作期間は完成品を多用した甲斐あって1ヶ月弱で済みました。
[台枠と防塵カバー]台枠を綺麗に製作することは大変な労力を必要とし、しかも防塵用アクリルカバーも別途製作しなければならない手間を考えると、既製のケースを利用した方が得策です。そこで、TAMIYAのディスプレイケースL(\13,000)を利用しました。 このケースは、内寸が470mm×320mm×185mmで3mm厚透明アクリルカバー付きの高級仕上木製台座の展示ケースで、1/12カーモデル展示用に量産されているものです。この仕様にしては廉価で、透明アクリルカバーがR加工仕上げなのも嬉しいところです。 このディスプレイケースにより運転盤の台枠と美観と防塵が一挙に解決しました。 ![]() 線路はトミックスの路面用パーツを使用する都合で、フレキシブルレールを使って敷設するのではなく同社のファイントラック(R103とS140)を使用しました。単純な小判型エンドレスです。線路総延長は927mmです。 給電フィーダーは付属のアタッチメントではなく線路裏側に直接ハンダ付けしてフィーダーケーブルを取付けています。 組線路使用の場合は、走行に影響のあるレールジョイント部の段差を慎重に調整する必要がありす。
構内軌道は土の地面に埋め込まれた軌道ではなく、コンクリート地面に埋め込まれた軌道を表現をするために、発売されたばかりのトミックスの路面用パーツを全面的に採用しました。路面用パーツは外側、レール間、内側をそれぞれドーナツ状に接着して繋ぎ合わせたものを作り、敷石を目立たなくするためとコンクリート色の着色を兼ねてグレー系の粗めのサーフェイサー(GSIクレオスのMr.サーフェイサー500スプレー)を厚めに吹き付けました。そして台座に線路を接着し、ドーナツ状に組んだ路面用パーツを被せて接着してコンクリート軌道が完成です。 ところで路面用パーツの側面は内外ともスリット状の切り込みがあります。今回の軌道はエンドレスの内側は地面になるためこのスリットは隠れてしまいますが、エンドレスの外側はむき出し状態になるため美観を損ねます。
そこでスリットを隠す目的で幅6mmの焦げ茶色の皮紐(かわひも)を巻いて美観を整えました。小判型エンドレスの軌道は台座スペースに対してかなりの余裕があります。そこで、全体のバランスとエンドレスの単調さを和らげる意味で、敢えて台座に対して軌道を斜めに配置しました。 これで農業倉庫のコンクリート地面構内軌道が完成です。
[農業倉庫]小型エンドレスの場合、エンドレスが大きなストラクチャーをぐるりと取り囲む情景にすることで遊園地的鉄道になることを避けることが出来ます。 今回は、モデルワークスの農業倉庫完成品(\33,000)をメインストラクチャーにすることで解決を図りました。完成品を利用したのは、キット製作の手間と時間と失敗リスクをお金で解決するためです。 この農業倉庫は非常に良くできたストラクチャーで、今回の運転盤の成否を決定付ける重要なファクターになっています。
[軌道と地面と建物基礎]コンクリート軌道を表現した路面用パーツの厚みは6mmありますので、エンドレス内側の農業倉庫基礎と地面のは写真(左)に示すようにスチレンボードとバラストで製作しました。 地面の部分は、本来ならプラスター処理による土の地面表現が常套手段ですが、プラスターによる汚れが発生するのを嫌って砂利引き地面とするためにバラスト散布としました。バラストは、路面用パーツのサーフェイサー色と違和感がなく且つ未着色で利用するため、トミックスのシーナリィバラスト(ライトグレー)を使用しました。農業倉庫基礎のスチレンボードは路面用パーツと同様にサーフェイサーによる着色のみです。
[給電フィーダーのコンセント]給電フィーダーはケーブルを常時ブラブラさせておくわけにはいきませし、台座はムクのため端子台などの取り付けは表面以外は不可能です。 そこで、東急ハンズ渋谷店で見つけた小型の2P端子台を台座右隅に設置し、この端子台に丁度差し込める大きさのプラグを秋葉原電気街で探し求めて簡易コンセントを製作しました。これで給電フィーダーはコンセント接続によりパワーパックから電源供給ができるようになりました。(タミヤの銘板が邪魔だなぁ〜)
[樹木・草・アクセサリー]今回のエンドレス軌道は台座スペースに対してかなりの余裕があり、台座の四隅は大きくスペースが発生します。そこでアクセントとして台座手前の左右隅に資材パイプと建機類、台座後方の左右隅には樹木を配置して見た目を整えました。 その他アクセサリー等については下表にまとめます。
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小型運転盤としての軌道と情景のバランスは成功したと考えています。美観と防塵も満足のいくものになりました。コンクリート埋込軌道にしたことで、枕木や犬釘やレール高さが見えずレール頭部しか露出していないため、鉄道模型に一般的に見られるスケールオーバーの線路が大きく目立つことを回避することができました。特にHOナロー小型車輌やNゲージの場合は線路の目立ち過ぎは致命的です。 命名は西葛軌道(サイカツキドウ)です。実在した人車鉄道の東葛人車鉄道と名前を対比させているのと、過去に製作したOナローの西葛人車鉄道の動力近代化版との想定です。 これで運転盤が完成しましたので後は車輌増備に努めるだけです。メインの投資活動の合間を縫って鉄道模型の運転を楽しみます。(2006年7月完成)
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■埃 ・埃は防塵用透明アクリルカバーのお陰で被害は皆無です。ただしアクリルカバー天井面に付着する微細な砂塵は定期的な清掃除去が必要です。この清掃除去の過程でアクリル表面に微細な傷が付きます、やむを得ません。清掃はバスマジックリンを含ませた雑巾で拭き取り、その後で水拭きします。 ■破損 ・レール間の路面パーツが一部が浮き上がり、車輌の脱線事故がありましたので再度強固に接着し直しました。また一ヶ所路面パーツ接続部の継ぎ目に隙間が生じていますが、これは現状のまま放置しています。何れも経年変化により接着力が弱まった事が原因です。 ・アクリルカバーを外して再度被せ直す時に、樹木を何度かへし折ってしまいましたので、その都度新しい樹木に取り替え修復しました。樹木とアクリルカバー間の距離に余裕が少ないことが原因です。特にアクリルカバーを被せる時は慎重さが要求されます。 ■運転 ・車長の長いボギー車がカーブ線路脇のアクセサリー(牛車)にあたって曲がれなくなったので、アクセサリーを若干ずらして再配置しました。 ・運転終了後に必ずエナメル系溶剤を含ませた綿棒でレールクリーニングしているので、車輌側に起因する原因を除きレールに関する集電不良はありません。 ・この4年間、最初の2年くらいは頻繁に運転していましたが、その後の2年は滅多に運転しなくなりました。理由は「飽きた」からです。レイアウトは製作している時が一番楽しく、完成してしまうと暫く運転したら飽きて来ます。普通ならここで次作のレイアウトを模索することになりますが、「西葛軌道を越える作品はもう作れない!」との判断で、現在はもっぱら「工芸品レイアウトの鑑賞」が主です。運転は来客時にデモンストレーションするくらいです。
・今まで色々な車輌を運転して来ましたが、今では角田軌道と西大寺鉄道の単端が定番になっています。理由は、元来気動車が好きなこともありますが、連結開放の手間のない単行運転の方が楽なこと、ストレスのない安定した低速運転が出来ること、です。またフリーランスのゴッゴモビル軌道車も、動力装置の性能の良さもあってデモ運転時の車輌として活躍しています。西葛軌道は気動車王国として末永く存続するでしょう。 |
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