そもそも、将棋ってなに! 
  


 そもそも将棋とは、どんなゲームなのでしょうか。今風に簡単に
いえば、戦国時代のシュミレーションゲームといえるでしょう。シ
ュミレーションゲームは知ってますよね。「信長の野望」「三国志」
などが、それです。この二つのゲームソフトに関しては、新作が出
るたびに、未だに飛ぶように売れています。日本人は、とにかくシ
ュミレーションゲームが好きなようです。

 余談ですが私も「天下統一」には、大いにはまりました。こちら
が領土を広げるごとに、コンピューター側も一人の武将の領土を広
げてきます。やがて最後には、雌雄をかけた大決戦を迎えるわけで
すが、これには相当熱くなったものです。

 シュミレーションゲームの醍醐味は、なんといっても合戦にあり
ます。出陣させる武将を選び、兵を与え、陣形を決め、戦術を練る。
あとは、知力と運の勝負です。戦況が不利なときには全軍を城に引
き上げ、篭城戦に移ることもあります。

 将棋とは、まさにこの戦国時代の合戦をシュミレーションしたも
のなのです。将棋のマス目は、縦に九つ、横に九つ、併せて八十一
マスあります。それが戦場の広さです。シュミレーションゲームに
詳しい人には、戦場のヘックスと言ったほうがわかりやすいでしょ
う。

 この戦場の両端に、あなたと敵の大将とが、対峙します。あなた
の周りには、あなたを守るたくさんの武将や足軽がいるように、敵
の大将の周りにも多くの兵が集まっています。兵たちはあなたに忠
誠を誓っています。

 この兵を生かすも殺すも、あなた次第です。どちらかの大将の首
がはねられるまで、勝負は続きます。あなたの率いる兵が敵の本陣
を襲い、大将の首をあげることができればあなたの勝ちです。

 ところでNHKの大河ドラマ「秀吉」は見たことがありますか。
合戦のシーンが幾度か出てきますよね。ちょっと思い浮かべてみて
ください。

 最前線で闘うのは、たいていは百姓上がりの足軽です。秀吉がま
だ木下藤吉郎と名乗っていた時代のあの姿が、足軽です。槍をもっ
て突進して行く兵もいます。絶大な威力を誇る鉄砲隊もいます。騎
馬軍団もいます。それらに命令を下し、足軽とともに戦場を駆け回
る武将たちもいます。本陣で大将を守る近衛兵役の武将もいます。

 大将以下、それぞれの人間がそれぞれの役割を果たすことで、は
じめて闘えるわけです。そして、今ここであげたそれぞれの兵は、
実は将棋の駒に置き換えられているんです。

 将棋は八十一マスのなかに、敵味方それぞれ八種二十枚の駒がお
かれます。最後部の真ん中の座を占めるのが「王将」、つまり大将
です。その傍らには、近衛役の武将軍団である「金将」が二部隊い
ます。その隣りには、主に敵軍に突入する武将軍団である「銀将」
が二部隊控えています。そばには忍者軍団に当たる「桂馬」が二部
隊、槍を構えた「香車」が二部隊付き添っています。

 彼らの前には、頼もしい味方が攻撃の機会をうかがっています。
右に鉄砲隊としてある「飛車」と、左に騎馬軍団としてある「角行」
が、これです。最前線には足軽隊である「歩」が、横一列に九部隊
並んでいます。

 さあ、あとはあなたの自由です。あなたはこの戦場では、神も同
然です。あなたが命じるままに、兵たちは死をも恐れず闘います。
気の向くままに兵を動かしてみてください。守るも攻めるも、出る
も引くもあなたの決断ひとつです。

 それはたとえていうならば、天下分け目の合戦といわれる関ヶ原
の戦いの指揮を、あなたが取るようなものです。徳川家康率いる東
軍と、石田三成率いる西軍とが、西暦一六〇〇年、関ヶ原で対決し
ました。両軍合わせ、およそ二十万の兵が関ヶ原の盆地で死闘を繰
り広げたのです。

 自分に与えられた十万の兵を思う存分操り、合戦を勝利に導いて
みたいと、あなたは思いませんか。家康になり、三成になり、ある
いは三国志の孔明になり、自分の知謀のたけを試してみたいとは思
いませんか。その夢を実現してくれるのが、将棋です。

 関ヶ原の霧が晴れ、ほら貝の音が戦場に響き渡ったなら、いよい
よ戦闘開始です。勝利に酔うも、負けて戦場の露と消えるも、すべ
てはあなた次第です。あなたこそが、戦場を支配する神なのですか
ら・・・。


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